2008年08月20日

株式会社の社員が知らない株式についてのエトセトラ

ギアは早めに入れよ。totoronです。

ドラッカーは成長企業における金融・財務問題について冒頭のように言いました。成長企業というものはある程度まで成長するとこれからが一番伸びる時期なのに、財務的な危機に陥ってしまって成長できなくなることが多いことをドラッカーは知っていました。

さて、先日東証一部の大手不動産デベロッパー、アーバンコーポレーションが民事再生手続きを申請しました。負債総額も今年のダントツトップであり、関連会社や取引先を含めた二次倒産が非常に心配です。

また、医療介護分野でも老人介護施設が過去最速のペースで次々と倒産しており、その負債総額は100億円を超えています。

そんな中だからこそ、企業としてはどのように資金調達を行うのかを見ていきたいと思います。知っていると知らないとでは、様々なニュースの見方も変わってくると思います。

まず、基本的なことから入りましょう。

●株式とは何でしょうか?

株式とは、簡単に言えば会社の所有権です。所有権を分割して切り売りし、会社の運転資金を調達していると考えて下さい。

だから、株式を大量に保有することは会社の所有権を持つことであり、会社の意思決定において大きな力を発揮することができます。

株式会社の社員は、通常はこの程度のことは理解しています。

●では、あなたの会社の発行株式数はどれくらいでしょうか?

意外とこういう数字はわかりません。
発行株式数に株価をかけた数字が、現在の会社の時価になります。
ですから、株価と同じく大事な数字です。

また、株主には利益から配当金を払う必要があります。

100万株発行しているなら、1株あたり1円の配当金を出すのに、100万円かかります。私の感覚では、株価の1%〜2%程度を配当で出している企業が多いので、株価が100円、100万株を発行している企業なら、100万円〜200万円を配当金として準備しなくてはなりません。すると、当然それ以上の利益を出すことが求められるわけです。

ソニーだと、株価が約4150円、発行株式総数が約10億株程度ですので、株価の1%の配当を出すなら、4150円×0.01×10億 = 41.5億円 の利益が最低でも必要になってきます。

株価に対する配当額を減らしてしまうと、その株式を保有する旨みが減りますので、株が売られ、株価が下がります。結果、企業価値が下がってしまいます。すると配当金が下がってしまうため、また株式保有の旨みが下がり・・・というスパイラルが株価を下方に押し下げる圧力です。


これを踏まえて、資金調達を考えてみましょう。

資金調達には、大きくは外部調達と内部調達があります。

外部調達とは、銀行からの借り入れや社債の発行による調達です。金融機関など外からお金を調達します。当然、利子や返済(償還)期限が存在します。

内部調達は、主に企業活動での営業収益と、株式発行による自己資本調達です。株式会社においては、この株式発行による資金調達により大きな金額が動くことが度々あります。

●新株発行

新株の発行は株主総会(会社の形態によっては取締役会)での決議があれば自由に行なえます。購入先があれば、株価×発行数の資金が調達できます。

●新株予約権付社債(ワラント債)

社債なので外部調達なのですが、社債を発行した会社の株式を一定価格で買い取る権利がついています。権利を利用して株を買ってもらえれば社債に加えて株式による資金調達もできます。

●DES(デット・エクイティ・スワップ)

負債と資本を交換する手法です。貸し付けていたお金などの債権を元手に株式を得ることになります。債権が無くなるだけで、現金の動きは発生しません。

色々な方法で増資がなされますが、その目的はキャッシュの確保です。それ以外の目的で成されるわけではありません。新たにキャッシュを確保するには、自社で保有している株式を売却するか、新規に株式を発行して売却するかどちらかしかありません。

株価が下がっている状態だと、同じ金額を手に入れるためにそれだけ多くの株式を売却する必要が生じます。すると、上記で述べたように多くの配当金を準備せざるを得なかったり、より自社の株価を押し下げ、企業価値を低くしてしまいます。

また、少し前にM&Aが騒がれましたが、大量の株式が安価に市場に回ることにより、買収されたり、意思決定を阻害されるリスクも発生してしまいます。

だから、こういった資金調達はしないで済むにこしたことはありません。

●会社分割・販売

会社の一部門を分割して株式会社化し、その株式を販売する方法です。ただ、会社本体の営業力が低下してしまいます。株式発行数も変わりませんので、低下した営業力のままで配当を払えるだけの利益を生まなくてはいけません。

現在、不動産関連を中心に多額の倒産などが相次いでいますが、多くの企業はこのような活動を行ないながらも、借り入れ金の返済期日までに株式の買取先が決まらなかったり、投資してくれる会社が見つからなかったりしているというわけです。

企業の成長のためには、金融は大事なのですが、過度の資本政策は投資家たちに市場を荒らされ、正常な資金調達を難しくしてしまいます。ライブドア事件以降も、そのような状況は続いています。

もう一度、株式について考えてみてはいかがでしょうか。
今見ているニュースの見方が、大きく変わってくると思います。

私の見た目では、近々大変なことになると思います。

それでは、今日はこの辺で。

「財産は来るもので、作るものではない 」
(ヘンリー・フォード)

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posted by totoron at 17:42| 東京 曇り| Comment(0) | TrackBack(0) | コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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